【20世紀のアニソンを愛でる会】Vol.2 アンディ「失われた伝説(ゆめ)を求めて」
ごきげんいかが、20世紀のアニソンを愛でる会、会員番号001です。
アニソン、愛でてますか。
20世紀、愛でてますか。
今回は1983年のタツノコプロ制作によるロボットアニメ『機甲創世記モスピーダ』より「失われた伝説(ゆめ)を求めて」をチョイス!
1.楽曲情報
「失われた伝説(ゆめ)を求めて」は、1983年10月放送開始のロボットアニメ『機甲創世記モスピーダ』のオープニング曲です。
歌うのはアンディ氏。作詞は売野雅勇氏、作曲はタケカワユキヒデ氏、そして編曲は久石譲氏。
ビクターから7インチレコードで発売されていました(カップリングは同アニメ・エンディング曲「ブルー・レイン」)。
A.アンディ氏について
アンディ氏は現在、アンディ小山の名前で、岩手や東京で活動中。元はシャープ・ホークスというグループサウンズの流れを汲んだコーラスグループに所属、安岡力也氏(!)らとともに活動していました。
この楽曲への参加は、同じ事務所に所属していたタケカワ氏の誘いがきっかけだったそうです。
B.売野雅勇氏について
売野氏は広告代理店勤務を経て、1981年にシャネルズ「星屑のダンスホール」や河合夕子「東京チーク・ガール」で作詞家活動を開始。翌年には中森明菜「少女A」のヒットで売れっ子作詞家の仲間入りを果たします。アニメや特撮の楽曲も多数手掛けており、鮎川麻弥「風のノー・リプライ」(『重戦機エルガイム』後期OP)や森口博子「水の星へ愛をこめて」(『機動戦士Zガンダム』後期OP)、影山ヒロノブ「光戦隊マスクマン」などがあります。麻生麗二という別名義での活動もあります。
C.タケカワユキヒデ氏について
言わずと知れた伝説的バンド「ゴダイゴ」の中心メンバー。自身のヒット曲はもちろん、ステファニー「Rock The Planet」(『うる星やつら』5期OP)、鈴木けんじ「光の戦士たち」(『魔動王グランゾート』OP)、TARAKO「オレ タルるート」(『まじかる☆タルるートくん』OP)などアニメの楽曲でもスマッシュヒット作が多数あります。
D.久石譲氏について
今ではジブリ作品の音楽担当として有名な久石氏ですが、そのターニングポイントと言われる「風の谷のナウシカ」前後では、テレビアニメ作品に作・編曲として携わることも多数ありました。「銀河疾風サスライガー」では編曲者としてほぼすべての楽曲に関わっており、一部楽曲では作曲も担当しています。
2.交錯する孤独
タケカワ氏が作曲したアニソン群の中でもロック色の強い作品。子どもにはマネできないアンディ氏の熱い歌唱。それらを彩る売野氏の詞は完全に大人の世界です。80年代のアニソン、特にロボットアニメのアニソンはこの「背伸び感」も欠かせないポイントだと思います。
最初に惹かれたのはアンディ氏の歌唱。
一聴したら忘れられないハスキーボイスが、それだけで独自の世界観を作り上げています。
次に着目したのが売野氏の歌詞。
当て字のワードが秀逸です。
行き場失くしたお前を 反射(うつ)す十字架
遠い日に置き去りにした
伝説(ものがたり)を愛にかえて
歌ってあげる
この当て字の感じが、荒廃した世界観とよくマッチするんです。
押さえておきたいのは、タイトルの“伝説”は「ゆめ」、歌詞の“伝説”は「ものがたり」と読み方が異なる点。同じワードに違う読みをぶつけるのはなかなか勇気が要る表現だなあと思ったりしますが……。
そしてもう一つ肝心なのが、詞中の語り手。
アンディ氏の熱いボーカルが際立つのでうっかり聞き流してしまいそうなんですが、語り手は女性だと思われます。
それを示す一節が所々に見受けられます。
Do you remember that ol' lullaby
遠い日に置き去りにした
伝説(ものがたり)を愛にかえて歌ってあげる
ただの口づけだけじゃ 淋しいだろう
抱いてあげるその命
戦場に生きる男を優しく抱きしめる存在。
この詞には、戦う者の孤独と、彼を待つ者の孤独、それらの交錯が描かれているのです。
そんな歌に、敢えて男くさいヴォーカリストを当てているのがこの曲の妙味と言えるでしょう。
実はこの組み合わせはアニメの内容そのものに深く関わっている事だったりします。
「20世紀のアニソンを愛でる会」は、アニソン単体の魅力を語る会ではありますが、モスピーダについては一度作品を通して観る事をオススメします。
今回は触れませんが、ED曲の「ブルー・レイン」はアニメを観るのと観ないのとでは印象や解釈に大きな違いが出るでしょう。
3.実際に聴いてみよう!
百聞は一見に如かず。百見は一聴に如かず。
そんなわけで最後に、色々とリンクを貼っておきます。
iTunesで検索すると、歌手違いで3パターンほど出てきますが、こちらが原曲です。
サムネイルに出ているジャケットを見て分かる通り、サウンドトラックを丸々1枚購入することもできるので、気に入った方はこちらの購入もご検討を。
YouTubeにもたくさん上がっていますが、著作権のこととか考えるとねー……ということで、そちらのリンクはお預け。タイトルで検索すると一発で見つかりますよ、ということだけお伝えします。
んで、この曲で面白いのは、マレーシアのHujanというバンドがカヴァーしていること。なぜマレーシア?というのはありますが、バンド公式のYouTubeチャンネルでライブ映像が公開されているので、こちらを紹介します。
Hujan - Lonely Soldier Boy LIVE at Sunday Afternoon Jam
サビの「Do you remember」のところで大合唱が起きています。っつーかイントロから盛り上がりが半端ない。
さらにちょっと調べてみたら、アマゾンプライムで全話視聴もできるみたいです。
モスピーダは、音楽が作品全編を通して一つの重要ワードになっており、各話のサブタイトルに必ず音楽用語が入っています(例「襲撃のプレリュード」「亡き勇者のラグタイム」「黒髪のパルティータ」etc...)。全編視聴の際はぜひそちらにも注目いただきたいところ。
今回はこんな感じで、閉会といたします。
次回もお楽しみに!