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【プロ野球小ネタ】2013年の『野球太郎』が出てきた

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野球太郎No.006。当時は廣済堂出版からの発売だった

冒頭から写真でこんにちは。左手の者です。
プロ野球のドラフト会議まであと一週間を切ったなか、部屋から『野球太郎』No.006が出てきました。こちらは2013年10月3日発行となっており、この年のドラフト会議(2013年10月24日開催)直前に出た“ドラフト直前大特集号”です。読み返してみると、現在主力として活躍している選手をはじめ、既にプロでのキャリアを終えた選手なども取り上げられており、興味深い内容でした。

せっかくなので、今回は勝手ながら、8年目の“答え合わせ”をしてみます。(文中、敬称略)

ドラフト候補名鑑~上位候補から隠し玉まで118名を一挙掲載!

巻頭カラーを飾ったのは「ドラフト候補名鑑」。タイトル通り、編集部が厳選した118名のドラフト指名候補をピックアップ、リードには「さぁ、2013ドラフトの予習の時間だ!」と力強い一言が躍ります。

当時の高校・大学・社会人・独立リーグの実力者たちの名前がズラリと並びますが、高校生・大学生については発行の時点でまだプロ志望届提出期限を迎えておらず(この年の期限は10月10日)、結果的にプロ志望届を提出しなかった選手も含まれていました。

では、彼らを含めて118名はどのような顔ぶれだったか、現在までの足跡も含めてまとめてみました。

ドラフト1・2位指名候補 24名

118名のうち、「1・2位候補」として挙げられたのは指名人数ぴったりの24名。その筆頭を飾ったのは桐光学園高の松井裕樹楽天でした。記事には「大学生・社会人も含めて今年のドラフト候補No.1左腕」とあり、その注目度がはっきりとうかがえます。即戦力度は5段階で4の評価をしていますが、1年目から27試合に登板(うち17試合で先発)、2年目以降は絶対的守護神として君臨する姿は評価を上回る結果となっています。

そして2番目に挙げた選手は、表紙も飾った大阪桐蔭高の森友哉(西武)。こちらは「大学生・社会人も含めて今年のドラフト候補No.1打者」と最高級の評価を送っています。本文は打撃面での評価が中心ですが、記事は「プロの捕手ではサイズが小さい。それならば、<プロ最小の最強捕手>になってやれ。ホームベースしか似合わない」と締めくくっています。

以下、誌面の掲載順で紹介。プロでの通算成績は2021年10月8日時点のものです。

松井裕樹桐光学園高)
【2013ドラフト】5球団が1位指名→抽選で楽天が交渉権獲得
【通算成績】389試合 22勝 40敗 165セーブ 61ホールド 550回2/3 705奪三振 防御率2.53
【獲得タイトル】最多セーブ投手(2019年)
【備考】高卒新人連続イニング無本塁打:71回1/3(ドラフト制導入以降の高卒新人のNPB記録)、通算100セーブ達成の史上最年少記録:22歳10か月、通算150セーブ達成の史上最年少記録:25歳6か月

森友哉大阪桐蔭高)
【2013ドラフト】1位指名で西武が交渉権獲得
【通算成績】816試合 811安打 94本塁打 411打点 23盗塁 打率.294 OPS.850
【獲得タイトル】首位打者(2019年)、最優秀選手(2019年)、ベストナイン(捕手:2018年、2019年)

③大瀬良大地(九州共立大
【2013ドラフト】3球団が1位指名→抽選で広島が交渉権獲得
【通算成績】202試合 65勝 44敗 2セーブ 24ホールド 974回1/3 764奪三振 防御率3.40
【獲得タイトル】新人王(2014年)、最多勝利(2018年)、最高勝率(2018年)

④吉田一将(JR東日本
【2013ドラフト】1位指名でオリックスが交渉権獲得
【通算成績】226試合 18勝 20敗 2セーブ 55ホールド 341回1/3 269奪三振 防御率3.74
【獲得タイトル】なし
【備考】2021年10月5日、戦力外通告

杉浦稔大國學院大
【2013ドラフト】2球団が外れ1位で指名→抽選でヤクルトが交渉権獲得
【通算成績】115試合 21勝 19敗 26セーブ 1ホールド 316回1/3 297奪三振 防御率3.84
【獲得タイトル】なし
【備考】2017年7月、日本ハムにトレード

東明大貴富士重工業
【2013ドラフト】オリックスが2位指名
【通算成績】94試合 18勝 30敗 0セーブ 1ホールド 458回1/3 337奪三振 防御率3.97
【獲得タイトル】なし
【備考】2020年11月に戦力外通告

浦野博司セガサミー
【2013ドラフト】日本ハムが2位指名
【通算成績】101試合 18勝 13敗 7セーブ 16ホールド 267回1/3 207奪三振 防御率3.87
【獲得タイトル】なし
【備考】2020年10月に現役引退、日本ハム打撃投手へ転向

⑧秋吉亮(パナソニック
【2013ドラフト】ヤクルトが3位指名
【通算成績】378試合 20勝 24敗 71セーブ 78ホールド 389回 357奪三振 防御率3.01
【獲得タイトル】なし
【備考】2018年12月、日本ハムにトレード。2019年7月、全球団からセーブ(史上5人目)

⑨内田靖人(常総学院高)
【2013ドラフト】楽天が2位指名
【通算成績】154試合 75安打 20本塁打 62打点 1盗塁 打率.179 OPS.606
【獲得タイトル】なし

⑩渡邉諒(東海大甲府高)
【2013ドラフト】外れ外れ外れ1位で日本ハムが指名
【通算成績】422試合 355安打 27本塁打 140打点 10盗塁 打率.258 OPS.695
【獲得タイトル】なし

⑪田口麗斗(広島新庄高)
【2013ドラフト】巨人が3位指名
【通算成績】187試合 40勝 45敗 2セーブ 19ホールド 734回1/3 569奪三振 防御率3.55
【獲得タイトル】なし
【備考】2021年3月、ヤクルトにトレード

⑫梅野隆太郎(福岡大)
【2013ドラフト】阪神が4位指名
【通算成績】784試合 535安打 40本塁打 244打点 34盗塁 打率.235 OPS.647
【獲得タイトル】ゴールデングラブ賞(2018年~2020年)
【備考】2019年4月、サイクル安打達成。2021年、東京オリンピック日本代表

⑬石川歩(東京ガス
【2013ドラフト】2球団が1位指名→抽選でロッテが交渉権獲得
【通算成績】170試合 67勝 58敗 0セーブ 5ホールド 1046回2/3 684奪三振 防御率3.59
【獲得タイトル】新人王(2014年)、最優秀防御率(2016年)
【備考】入団から3年連続2ケタ勝利(2014年~2016年、球団史上初)。2017年、WBC日本代表

⑭三上朋也(JX-ENEOS
【2013ドラフト】DeNAが4位指名
【通算成績】325試合 10勝 15敗 23セーブ 114ホールド 304回 227奪三振 防御率3.14
【獲得タイトル】なし

⑮岡本健(新日鐵住金かずさマジック)
【2013ドラフト】ソフトバンクが3位指名
【通算成績】50試合 2勝 0敗 0セーブ 1ホールド 68.1回 41奪三振 防御率3.42
【獲得タイトル】なし
【備考】2019年10月、戦力外通告ソフトバンク打撃投手へ転向

⑯園部聡(聖光学院高)
【2013ドラフト】オリックスが4位指名
【通算成績】16試合 11安打 1本塁打 6打点 0盗塁 打率.204 OPS.561
【獲得タイトル】なし
【備考】2018年10月、戦力外通告。2019年1月、JX-ENEOS入団、同年12月引退

⑰柿田裕太(日本生命
【2013ドラフト】外れ1位で2球団が指名、DeNAが交渉権獲得
【通算成績】一軍出場なし
【獲得タイトル】なし

⑱河合完治(法政大)
【2013ドラフト】指名されず、トヨタ自動車入団。以後、ドラフト会議で指名なし

⑲上林誠知(仙台育英高)
【2013ドラフト】ソフトバンクが4位指名
【通算成績】513試合 367安打 56本塁打 182打点 45盗塁 打率.242 OPS.717
【獲得タイトル】なし

⑳岩貞祐太(横浜商科大)
【2013ドラフト】外れ外れ1位で2球団が指名、阪神が交渉権獲得
【通算成績】169試合 37勝 41敗 0セーブ 20ホールド 588回1/3 532奪三振 防御率3.75
【獲得タイトル】なし

田中広輔JR東日本
【2013ドラフト】広島が3位指名
【通算成績】970試合 886安打 61本塁打 312打点 128盗塁 打率.262 OPS.728
【獲得タイトル】盗塁王(2017年)、最高出塁率(2017年)、ベストナイン(遊撃手:2017年)、ゴールデングラブ賞(遊撃手:2018年)
【備考】2017年、WBC日本代表

西浦直亨(法政大)
【2013ドラフト】ヤクルトが2位指名
【通算成績】548試合 383安打 38本塁打 186打点 19盗塁 打率.240 OPS.665
【獲得タイトル】なし

吉原正平日本生命
【2013ドラフト】ロッテが4位指名
【通算成績】6試合 1勝 1敗 0セーブ 0ホールド 9回1/3 3奪三振 防御率9.64
【獲得タイトル】なし
【備考】2016年10月、戦力外通告。ロッテ用具補佐兼打撃投手

㉔若月健矢(花咲徳栄高)
【2013ドラフト】オリックスが3位指名
【通算成績】576試合 283安打 10本塁打 118打点 5盗塁 打率.215 OPS.546
【獲得タイトル】なし

ドラフト3~5位指名候補 35名

「補強ポイントにより1位指名の可能性も!」という中見出し付きで紹介。ここからは高校生→大学生→社会人の順で名前が並べられています。この項以降はプロ入りしていない選手も増える一方、数年後にプロ入りを果たす選手も見受けられます。プロ入りした選手をまとめました。2013年以外のドラフトでプロ入りした選手名は赤色の文字で表記しています。

①鍬原拓也(北陸高):2017ドラフト1位、中央大→巨人 ※2013年プロ志望届未提出
②長谷川凌汰(福井商高):2019育成ドラフト3位、BC新潟→日本ハム ※2013年プロ志望届未提出
鈴木翔太聖隷クリストファー高):2013ドラフト、外れ1位で中日。2020年11月、戦力外通告。2020年12月、育成選手として阪神移籍。2021年10月、戦力外通告
④二木康太(鹿児島情報高):2013ドラフト、6位でロッテ
⑤児山祐斗(関西高):2013ドラフト、5位でヤクルト。2016年10月、戦力外通告。2017年、シティライト岡山入団
奥村展征日大山形高):2013ドラフト、4位で巨人。2015年1月、人的補償選手としてヤクルト移籍
⑦横田慎太郎(鹿児島実高):2013ドラフト、2位で阪神。2019年9月、現役引退
⑧関根大気(東邦高):2013ドラフト、5位でDeNA
⑨白村明弘(慶応義塾大):2013ドラフト、6位で日本ハム。2020年10月、現役引退
九里亜蓮亜細亜大):2013ドラフト、2位で広島
⑪高梨裕稔(山梨学院大:2013ドラフト、4位で日本ハム。2018年12月、ヤクルトにトレード
⑫岩橋慶侍(京都産業大:2013ドラフト、4位でヤクルト。2019年10月、戦力外通告オリックス打撃投手に転向
⑬嶺井博希(亜細亜大):2013ドラフト、3位でDeNA
吉田裕太(立正大):2013ドラフト、2位でロッテ
岡大海(明治大):2013ドラフト、3位で日本ハム。2018年7月、ロッテにトレード
山川穂高(富士大):2013ドラフト、2位で西武。本塁打王(2018年、2019年)、最優秀選手(2018年)、ベストナイン一塁手:2018年、2019年)
⑰三木亮(上武大):2013ドラフト、3位でロッテ
⑱山本翔也(王子):2013ドラフト、5位で阪神。2018年11月、現役引退。
⑲金平将至(東海理化:2013ドラフト、5位で日本ハム。2016年10月、戦力外通告
⑳加治屋蓮(JR九州:2013ドラフト、外れ外れ1位でソフトバンク。2020年11月、戦力外通告。2020年12月、阪神入団
平田真吾(Honda熊本):2013ドラフト、2位でDeNA
小林誠司日本生命:2013ドラフト、外れ1位で巨人。ゴールデングラブ賞(捕手:2017年)。2017年、WBC日本代表。
井上晴哉日本生命:2013ドラフト、5位でロッテ
㉔石岡諒太(JR東日本:2015ドラフト6位、JR東日本→中日

進学・就職有力組 21名

「数年後は上位指名を!」と中見出しがついたページ。数年後のステップアップを見越して取り上げたというところですが、実際にプロ入りした選手は僅かでした。こちらでも2013年以外のドラフトでプロ入りした選手名は赤字で表記しています。

①山岡泰輔(瀬戸内高)2016ドラフト1位、東京ガスオリックス。最高勝率(2019年)。 ※2013年プロ志望届未提出
②北村拓己(星稜高):2017ドラフト4位、亜細亜大→巨人 ※2013年プロ志望届未提出
吉田雄人北照高):2013ドラフト、5位でオリックス。2018年10月、戦力外通告
④関谷亮太(明治大):2015ドラフト2位、JR東日本→ロッテ。2019年12月、現役引退。ロッテ打撃投手に転向  ※2013年プロ志望届未提出

下位指名候補 17名

中見出しには「末はイチローか攝津正か!」の文字が。この項で挙げられた選手も多くありませんが、存在感を徐々に強めている選手もいます。

岸里亮佑(花巻東高):2013ドラフト、7位で日本ハム。2019年10月、戦力外通告。2019年12月、琉球ブルーオーシャンズ入団。2020年12月退団。
②中村祐太(関東一高:2013ドラフト、5位で広島
③椎野新(村上桜ケ丘高):2017ドラフト4位、国士舘大ソフトバンク
平良拳太郎(北山高):2013ドラフト、5位で巨人。2017年1月、人的補償選手としてDeNAに移籍
⑤石川亮(帝京高):2013ドラフト、8位で日本ハム
⑥金子一輝(日大藤沢高):2013ドラフト、4位で西武。2019年10月、戦力外通告。西武アカデミーコーチ。
西宮悠介(横浜商科大):2013ドラフト、5位で楽天。2019年11月、現役引退。楽天打撃投手に転向

隠し玉選手 11名

中見出しは「会議場のざわめきを呼べ!」。タイトルに反し、実際にプロ入りした選手は過半数の6名。中には大化けした選手も……。

①奥浪鏡(創志学園高):2013ドラフト、6位でオリックス。2017年8月、契約解除。
②石川柊太(創価大):2013育成ドラフト、1位でソフトバンク最多勝利(2020年)、最高勝率(2020年)。
③桂依央利(大阪商業大):2013ドラフト、3位で中日
④濱矢廣大(Honda鈴鹿:2013ドラフト、3位で楽天。2019年3月、DeNAにトレード。2020年11月、戦力外通告。2021年2月、BC・茨城入団。2021年7月、メキシカン・リーグ移籍
森唯斗三菱自動車倉敷):2013ドラフト、2位でソフトバンク最多セーブ(2018年)。通算100ホールド100セーブ達成(史上6人目)
⑥南川忠亮(JR四国:2015ドラフト5位、JR四国→西武。2019年10月、戦力外通告JR四国入団

独立リーグ在籍ドラフト有力選手 10名

『野球太郎』では、他の媒体と比較して独立リーグ出身の選手推しが強めで、それが冊子の“色”になっています。この号でも独立リーグの選手のみで見開きカラー2ページを使い、10名の選手をピックアップしています。中見出しは「切磋琢磨して向上してきた我々も“プロ”だ」。

又吉克樹(香川):2013ドラフト、2位で中日
②入野貴大(徳島):2014ドラフト5位、徳島→楽天。2018年10月、戦力外通告
③東弘明(徳島):2013育成ドラフト、1位でオリックス。2014年10月、戦力外通告
④大竹秀義(富山):2015育成ドラフト5位、武蔵→巨人。2017年10月、戦力外通告。巨人打撃投手に転向
⑤柴田健斗(信濃:2013ドラフト、7位でオリックス。2015年10月、戦力外通告。2016年1月、四国IL・愛媛入団。2016年11月退団。

まとめ

「1・2位候補」として取り上げられた選手24名中23名がプロ入りしており、10名が1位指名、4名が2位指名を受けていました。一方、編集部の眼力を示すページである「下位指名候補 17名」「隠し玉選手 11名」からは合計13名の選手がプロ入り、中でも「隠し玉選手」からは石川柊太森唯斗と2名のタイトルホルダーが出ています。
ドラフト候補選手を特集した雑誌は、リアルタイムで情報入手できる面白さ、そして数年後に「いま活躍している選手の当時の評価はどんなもんだったんだろう」と読み返す楽しさがあります。あなたもぜひ本棚に眠っている雑誌を手に取ってみてはいかがでしょうか。