【プロ野球小ネタ】2018年オフの”コーチ移籍”は「前代未聞」か?
はいー、だう。です。
今日、こんな記事を読んだんですよ。
【江尻良文の快説・怪説】巨人は“甲斐キャノン”育ての親、達川氏をヘッドコーチに招請せよ! (1/2ページ) - zakzak
はい、夕刊フジ読者なら(きっと)みんな大好き、えじりんさんのコラムです。
「達川をヘッドコーチにって、今言うかよー。巨人のコーチ組閣発表したばっかりじゃん」とか思ったりしつつ読んでみると、気になる一文が。
セ・リーグで巨人・原、中日・与田、阪神・矢野。パでもオリックス・西村、楽天・平石。5人の新監督が誕生しただけに、コーチ陣刷新はある程度予想された。
しかし、選手のトレードではなく、これほど球団間でコーチの移籍が頻発するのは前代未聞だろう。
ほう。刷新は予想していたが、これほどの頻発は前代未聞、と……。
はて?本当にそうだろうか?
そんなところに疑問を感じてしまったのである。
なので、これは検証せねばなるまい。
1.来季のコーチ陣として発表された”移籍組”
この記事を書いている時点で、まだ広島とソフトバンクについて、コーチ陣組閣の公式発表はない。だがこれまでの報道を見る限り、新任・再任はあっても、移籍はなさそうだ。
というわけで、本日までに発表された”移籍組”のコーチをずらっと並べてみる。
橋上秀樹(西武→ヤクルト)
阿波野秀幸(巨人→中日)
赤堀元之(ヤクルト→中日)
以上、15名
12球団中5球団が新たな監督を迎えて2019年のシーズンを戦うことに(今季監督代行を務めた楽天・平石洋介含む)。
それを踏まえると15名の移籍は多いと言えば多いのだが、阪神は前任者の続投準備を進めていた矢先での辞任となったことで大幅な入れ替えをできない状況にあったり、巨人は”コーチ一年生”を多く迎える布陣となったために移籍組がいなかったりという状況があり、一概に「移籍組が多い」とも言い難い。
2.今季”移籍”でチーム入りしたコーチたち
続いては、2018年(つまり今年)のシーズンを戦うにあたって、他チームから移籍してきたコーチを見てみよう。ちなみに昨年→今年で新しく監督を迎えたチームは2つ(ヤクルト・ロッテ)だ。
田畑一也(巨人→ヤクルト)
石井琢朗(広島→ヤクルト)
河田雄祐(広島→ヤクルト)
嶋村一輝(中日→DeNA)
松山秀明(ロッテ→ソフトバンク)
今岡真訪(阪神→ロッテ)
小坂誠(巨人→ロッテ)
以上、17名
超えた。2018→2019での移籍組の人数を、超えてしまった。
新任監督を迎えた2チームがそれぞれの目論見の下、コーチ陣を刷新した影響が大きい。ロッテはコーチ経験ゼロの新米監督を支えるために5名、ヤクルトはチーム改造の布石として3名のコーチを他チームからそれぞれ招いたのだ。
3.2016年のチーム組閣を振り返る
それでは、直近で来季並みに新監督を迎えるチームが多かった年を見てみよう。
その年とは、2016年。
巨人は高橋由伸を、阪神は金本知憲を、そしてDeNAがラミレスを新監督として迎えた年である。
河田雄祐(西武→広島)
嶋村一輝(DeNA→中日)
以上、19名
超えた。今季の人数を、超えちまった。
しかしこの年は実をいうと、先ほど挙げた3チームに加えてオリックスが当時監督代行を務めた福良淳一を、楽天が梨田昌孝をそれぞれ新監督として迎えていて、合計5チームが監督の交代をしている。
そうなるとコーチが移籍した人数もこれだけ膨れるのも当然のような気がするが、さて、2019年に新監督でシーズンを迎えるチームの数も、5である。
あれ、となると、今年→来年の”移籍組”コーチって、少ないんじゃね?
4.終わりに
この結果、なんとなく予想していた。
というか、ここまで分かりやすい人数差になるとまでは思っていなかった。
来季の組閣は広島とソフトバンク次第ではあるが、今のところ、「前代未聞で移籍が頻発している」とは言いがたく、まあ、例年通りなのでは、という印象に収まった。
まあ、それはそれとして、コーチの移籍が多いということは、球団が首脳陣へ結果を早く求めようとしている風潮があることの表れだ。
一般人の目からしてみればコーチの変更がどれだけチーム成績の浮沈に関わるかは測りがたい。今回の作業を通して、コーチ陣に注目してみるシーズンも面白いかもしれないと思った今日この頃であった。