【TBS RADIO「Fine music」】アニソン特集がツボを突きまくっていた件
このブログを読んでくれた方々の中に、「ラジオ好きだぞ~」という方はどれくらいいらっしゃるでしょうか?
旬な話題や新旧問わず愛される名曲、そしてTVではあまり見られないタレントさんの違った一面が垣間見えるトークなど、独自の地位を築いているメディア、それがラジオです。
かく言う私の呼び名「だう。」もラジオネームから来ていたりします。中学の時は、朝5時から夜中までラジオばっかり聴いてたなぁ。なんて。
で、今回はそんなラジオの話題から。
先日、Facebookのお友達が、「TBSラジオの『Fine music』という番組で昭和のアニソンのエンディングテーマ特集をやっていた」という話を投稿していました。
ありがたいことに公式ブログのリンクを貼っていてくれてたので、早速チェック。
ま、関東圏限定の番組とはいえ所謂キー局だし、エンディングって言っても王道のやつがメインなんだろーなと高を括っていました。
ですが。
ブログに書かれたプレイリストを見て、驚愕。
なんかアニメ作品自体はメジャーなのに、どこかマイナー感漂う選曲!
おいおい、これ、私が長年やってみたかった選曲じゃないか!
うらやましい!
チチショー!
ちょっとひっくり返ってしまいましたよ。
この「Fine music」、日曜の早朝4:00~6:00の2時間番組で、局アナの駒田健吾さんが選曲しているとのこと。
この日のテーマは「アニメソング特集」だったらしく、昭和に限らず、ここ最近の楽曲も流れていたようです(この記事の最後にリンク貼っときます)。
プレイリストを載せた記事の冒頭で「今回はみんな大好き『アニメソング』を集めてお送りしました」とあるのですが、プレイリストの楽曲聴いて全部知っている人はどれだけいるんだろう。反射的にそう思うくらい、なかなか味のある選曲でした。
今日はその中から昭和の楽曲を中心にピックアップ。思いっきり悔しがりたいと思います。
1.風の谷のナウシカ/安田成美
1曲目はさすがにメジャーどころを持ってきています。ただしこの曲、シンボルテーマソングという扱いなんですね。その辺の話、今回は割愛します。
この曲、作家陣がすごい。
作詞・松本隆、作曲・細野晴臣という日本語ロックの先駆者「はっぴいえんど」のコンビに、編曲は萩田光雄氏。萩田氏は4月に放送された『マツコの知らない世界』の「昭和ポップス」特集でも大きくフィーチャーされていたので、覚えている方も多いかと思います。
俗に言う「ジブリ作品」(細かい話は割愛)の中でも王道というにはどこか躊躇してしまうこれを最初に持ってくるあたりに、ニヤリとしてしまいます。
2.背番号のないエース/ラフ&レディ
2曲目で早くも劇場版のテーマ曲を出してきました。やべえ。
こちらは80年代野球アニメで社会現象を巻き起こした『タッチ』の劇場版第1作として、1986年に公開された『タッチ 背番号のないエース』の主題歌に使用されました。当時は売上20万枚のスマッシュヒットになったのだとか。
歌は男性デュオ・ラフ&レディによるものですが、作曲・編曲はあだち充氏のアニメ楽曲を多く手掛けたヒットメーカー・芹澤廣明氏。作詞は芹澤氏とのタッグで多くのヒット曲を生み、「サイレント・ヴォイス」(機動戦士Zガンダム)などアニソンも多く手掛けた売野雅勇氏。青春ソングの第一人者たちによる、隠れた名曲です。
3.空からこぼれたStory/ダ・カーポ
1984年放送のテレビアニメ『名探偵ホームズ』の主題歌です。
宮崎駿氏が全26話中6話を監督したことでも知られています。
しかしここで特筆すべきは何といってもダ・カーポ!男女フォークデュオとして知られ、一般世間では「結婚するって本当ですか」や「野に咲く花のように」(『裸の大将』のテーマ曲)の楽曲が馴染み深いと思います。
が!実はアニソンでも大きな足跡を残しており、1980年公開の劇場版『地球へ…』主題歌の「地球(テラ)へ…」をはじめ、1989年公開の劇場版『宇宙皇子』主題歌「夢狩人」など、ふと口ずさみたくなる印象深い楽曲を歌っています。
4.火の鳥/渡辺典子
ここまでのプレイリスト4曲中で早くも3曲目となる劇場版作品から。
こちらは1986年公開の『火の鳥 鳳凰編』の主題歌に起用された楽曲です。
角川春樹御大が映画でヒット作を飛ばしまくっていた時代の作品のひとつで、楽曲を歌う渡辺典子さんも当時「角川三人娘(ほかの2人は薬師丸ひろ子と原田知世)」として人気を博しました。
角川アニメ映画を語るうえで渡辺さんは欠かせない存在で、彼女のレコードデビューは角川氏が製作に名を連ねる劇場版アニメ『少年ケニヤ』の主題歌。以降、『カムイの剣』そして『火の鳥 鳳凰編』とヒット作の主題歌を担当しました。
5.光の天使(Children Of The Light)/ローズマリー・バトラー
Children Of The Light/Rosemary Butler 光の天使 幻魔大戦
番組冒頭から5曲中4曲を劇場版アニメの主題歌で構成するプレイリスト、私は好きです。
というわけで、こちらは前述の「火の鳥」より少し前の1983年に公開された劇場版アニメ『幻魔大戦』の主題歌。こちらが所謂「角川アニメーション映画」作品群の第1作で、この作品のヒット以降、角川アニメーション映画は80年代を代表する国内作品としての地位を確立していくのです。
ローズマリー・バトラーというシンガーもまた、角川映画とは縁のある歌手で、前年公開の『汚れた英雄』(邦画・実写作品。製作は角川春樹事務所)の主題歌を歌っていました。
久しぶりにテレビアニメの楽曲きました。このまま劇場版作品だけで押し切るんじゃないかと内心ワクワクしてましたが。
こちらはテレビアニメ『北斗の拳2』のオープニングテーマに起用され、人気を博した一曲です。世代ではないという人も「たっぽい!たっぽい!」のあの曲、といえばすぐに思い出すのではないでしょうか。たっぽい!たっぽい!たっぽい!たっぽい!
個人的にはエンディングに使われた「LOVE SONG」の方が好きなのですが、「TOUGH BOY」もまた名曲なのは確か。「マニフェスト」という言葉をいち早く取り入れた楽曲なので、その点にも注目してみてください。
7.星空サイクリング/ヴァージンVS
(本人歌唱ではありませんが、ご了承ください)
続いては高橋留美子先生のモンスターヒット作『うる星やつら』の第3期エンディングテーマに起用されました。『うる星やつら』といったら「ラムのラブソング」やろがい!という大多数の声をあっさりかわす、通な選曲です。
ヴァージンVS(ヴァージン・ヴイズ)というバンドは知る人ぞ知る、ニューウェイヴバンド。ヴォーカルはかつて「フォーク界の異端児」の異名をとったあがた森魚氏で、Wikipediaによれば、フォークシンガー時代からは全く想像できないいでたちでの登場に周囲を唖然とさせたとか、何とか。
このバンドもアニメと縁が多く、1981~82年には楽曲がテレビアニメ『みゆき』の挿入歌に起用されたり、「ミンキーモモ」や「ゴーショーグン」、「ポケットモンスター」などでも知られる脚本家・首藤剛志氏の伝説的OVA作品「Radio City Fantasy 街角のメルヘン」の劇中歌を担当するなどの足跡を残しています。
8.炎のたからもの/BOBBY
ここでまた劇場版作品に戻ります。もうテレビアニメに帰ってこないんじゃなかろうか。
こちらは「ルパン三世」シリーズの中でも人気の高い劇場版作品『ルパン三世 カリオストロの城』の主題歌に使われました。
BOBBYさんはハスキーボイスが魅力の女性シンガー。経歴の詳細が掴みづらいのですが、ボビー&リトルマギーというバンドでメインボーカルを担当していたとのこと。本名の「木原敏恵」で調べるとちょこちょことバンド時代の情報などが調べられます。
9.約束/新居昭乃
いやあ、まさかこの曲がプレイリストに入ってくるとは!今回のリストの中で個人的に一番うれしいチョイスだったりします。
「宇宙皇子」シリーズや数々のアニメ脚本でも知られる藤川桂介氏の原作による劇場版アニメ『ウインダリア』の主題歌です。このアニメのキャラクターデザインおよび作画監督はゲーム「テイルズ」シリーズや小説版「ドラゴンクエスト」シリーズの挿絵などでも知られるいのまたむつみさん。俺得すぎる。はい。
数々のアニメ主題歌制作や歌唱で知られる新居昭乃さんのデビュー曲でもあります。「約束」は不朽の名曲「愛・おぼえていますか」の加藤和彦氏による作曲ですが、そのカップリング曲で『ウインダリア』の挿入歌にもなった「美しい星」は新居さんの作詞・作曲。こちらも名曲です。
10.飛翔<NEVER END>/西松一博 by ARAGON
こちらも劇場版アニメの主題歌。もう笑っちゃう。
1983年公開の劇場版アニメ『クラッシャージョウ』の主題歌に起用されました。実はこの作品、前述の『幻魔大戦』と同時期に公開されたそうで、当時はこの2作に加えて『宇宙戦艦ヤマト 完結編』も公開、大きな話題になったんだとか。
本作が宇宙を舞台としたSFアクションだけあって、そのイメージを踏襲したアレンジが秀逸。カラオケで歌いあげると実に気持ちいいのでおすすめ。
11.走れ正直者/西城秀樹
ここからテレビアニメの曲がどーんと来る気がするよ!
テレビアニメ『ちびまる子ちゃん』(第1期:1990~92年)の後期エンディングテーマに起用されました。
ちびまる子ちゃんと言えば、劇中で幾度となく登場し、まる子と姉・さきこを熱狂させたTVスターの西城秀樹氏。劇中のスターがテーマ曲に起用されるという、まさに夢のコラボレーションでした。今では「おどるポンポコリン」がアニメの総合テーマ曲的な立ち位置で様々なアーティストにカヴァーされていますが、こちらも歌い継いでほしい一曲です。
放映当時の小学生たちは「リンリンランラン ソーセージ~♪」のところを替え歌したものです。
12.心はジプシー/ケーシー・ランキン
なるほど、こっちが来るか。ますます私好みだ!!
というわけで、こちらは1983年放映のテレビアニメ『超時空世紀オーガス』のエンディングテーマでした。
アニメタイトルからうかがい知れるように、本作は『超時空要塞マクロス』の後番組として制作されたもの。本作の後に制作・放映された『超時空騎団サザンクロス』も合わせて、「超時空シリーズ」と呼称されているのだそうな。
民族音楽を取り入れたアレンジが秀逸で好きなのですが、その一方でロボットアニメの楽曲なのにジプシーとは是如何に、という疑問がずっと拭えずにいます。アニメ観たら分かるのかしら、そうですね、観ます、どうにかして、はい。
13.地球にI LOVE YOU/WELCOME
POWERD ARMOR DORBACK 「地球にI LOVE YOU」
ロボットアニメには名曲多し、なんですけどこちらは名曲と呼ぶのをなぜか躊躇してしまいます。歌うと気持ちいいんですよ、いいんですけど。一度聴いたら忘れられない印象的な曲なんですよ、なんですけど。
というわけで、こちらは1983年放映のテレビアニメ『特装機兵ドルバック』のオープニングテーマです。作詞・作曲は『パーマン』(第2作)のエンディング曲「パーマンはそこにいる」で知られる、古田喜昭氏。
音楽をよく知らない人が聴くと、アルフィーが地球讃歌を歌ったらこんなんなりました!というイメージの楽曲なんですが、肝心のWELCOMEというグループの正体がよくわからないのです。誰なんだ。
14.さめない夢/大和田りつこ
続きましては1979年放映の『赤毛のアン』のエンディングテーマです。アラサー以上のお兄さんやお姉さんならご存じ、フジテレビの世界名作劇場シリーズの5作目に当たる作品です。
弾むようなピアノで幕を開けるこの曲、音大で声楽を学んだ経歴を持つ大和田りつこさんの伸びやかな歌唱とピアノの調和が美しく、オペラ的というか、普通のポップソングにはない劇的な構成が魅力です。オープニングの『きこえるかしら』もそうなんですが、ヴォーカルなしの間奏がふんだんに盛り込まれた構成で、それがより一層ロマンチックさを与えているんですよね。アニソンには珍しく、歌うというよりもしっかり最後まで聴きたいと思わせる一曲です。
15.青い地球/ささきいさお
昭和のアニソンと言えば四天王と呼ばれる方々がいまして、水木一郎氏・堀江美都子さん・大杉久美子さん、そしてささきいさお氏の4人を指す呼称なのですが、ここまで彼らの歌った楽曲がひとつも登場していないんですね。そんなわけで、オールドファンからすると「やっと出てきたか!」と思ったかもしれません。
が、ここでも天邪鬼な選曲。SFアニメの金字塔を打ち立てた松本零士作品は良しとして、ヤマトではなく999。まあ、999も多く語られる名作だから全然問題ないのですが、オープニング曲の「銀河鉄道999」ではなく、ゴダイゴが歌った劇場版の「Galaxy Express 999」でもなく、敢えてテレビ版エンディングの「青い地球」というチョイス。渋い。この躱し方は学ぶところ多し。
16.美しさは罪/パタリロ
🎧 パタリロED / 美しさは罪【少deep・back音・FULL】
絶妙な「躱し」はここでも出ました。やられた。
1982年放映のテレビアニメ『パタリロ!』の前期エンディングテーマです。
パタリロといえばオープニングの「パタリロ!」か、後期エンディングの「クックロビン音頭」が有名ですが、まさかこちらを選んでくるとは。しかし実はこの曲こそ、パタリロの作品に貫かれる耽美志向とパロディ精神を表した、真のテーマ曲ではないかと思うのです。
この曲を歌った竹田えりさんは声優やうたのおねえさん、更には芸能レポーターなどとマルチに活躍した人で、実は作曲家の一面も持っているのだそう。すげえな。
お、こっちか。そうか、こっちか。
1981年からおよそ5年間にわたり放映されたテレビアニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』のエンディングテーマ。不定期に入れ替わりながらも、放映終了までエンディング曲として断続的に使われてきました。アラレちゃんの世界観にマッチした水森亜土さんの歌が印象的です。
この曲の特筆すべきところは、作曲者として名を連ねるサタンタという人物。実はこれ、「ガッチャマンの歌」や「およげ!たいやきくん」などで知られる子門真人氏のペンネームなのです。サタンタのほかにも多くのペンネームがあるそうで、興味のある方はぜひ調べてみてください。
18.ランナー/藤原誠
プレイリストの最後を飾るのはこちら。『超時空要塞マクロス』のエンディングテーマです。最後の最後まで天邪鬼な選曲だぜ。
歌唱を担当した藤原誠さんは『戦国魔神ゴーショーグン』のテーマ曲や「カムヒア!ダイターン3」を歌ったことでも知られた人物。作品は少ないのですが、80年代のロボットアニメを彩った名ボーカリストの一人と言っても過言ではありません。「ランナー」でも、あたたかみのあるボーカルを聞かせています。
……む、そういえばロボットアニメの代表作であるガンダムの曲が一つもないのに、超時空シリーズの曲が2つも選ばれている。これは、超時空シリーズの放映局がTBSだったということの忖度か……?
いやあ、すごいボリュームで紹介してしまいました。ここまで6800字超。全部読んでくださったあなた、ありがとうございます。今後ともよしなに。
プレイリストのリンクです