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【プロ野球小ネタ】一軍監督経験者のコーチ就任ブーム到来?

こんにちは。コロナ禍に揺れたプロ野球もあっという間にオフシーズン。各チーム、来季に向けて着々と準備を進めています。

そんな中、気になる記事がありました。

 

【ロッテ】今岡真訪2軍監督が1軍ヘッドに…元オリックス監督森脇浩司氏1軍コーチ招聘、鳥越裕介ヘッドは2軍監督に : スポーツ報知

 

記事にある通り、森脇氏はダイエーでコーチ業を長く務めた後、オリックスでコーチを経て監督に。更にその後、中日に内野守備走塁コーチとして招聘されています。

一軍監督としてチームの指揮を執った人物がコーチなんて……と思うかたもいるかもしれませんが、昨今は「チームAで一軍監督経験→退任→チームBがコーチとして招聘」というパターンが増えてきました。

そんなわけで、今回は一軍監督経験者がコーチに“再就職”した事例を調べてみます。

 

1.2020年は監督経験者のコーチが…

まず今年を振り返ってみると、パリーグの首脳陣に監督経験アリのコーチが多く見受けられます。

 

まずは楽天監督退任から間もなく打撃コーチとしてソフトバンクに招聘された平石洋介氏。同一リーグの別チームで指揮を執っていた人物を退任後すぐに招聘するというケースは珍しいのですが、実はソフトバンクに関して言えば初めての事ではありません。その辺りは後ほど。

 

西武の三軍統括コーチとして若手育成を任されている田邊徳雄氏は、15〜16年に西武で監督を務めました。退任後はチームアドバイザーとしてチームに在籍していましたが、今年から現職に就任。元々コーチとしての評判が高かった人物だけに、現場復帰を喜んだファンは多いのではないでしょうか。

 

伊東勤氏は西武・ロッテで合計9年間監督を務め、初めて就任した04年には日本一も果たした名将。19年から中日のヘッドコーチに就き、与田剛監督の右腕として活躍しています。

 

今季コーチとしてチームに在籍した監督経験者は以上の3人。平石氏と田邊氏はこれまでの指導実績が、伊東氏は監督としての経験が買われて首脳陣入りしたのではないかと思います。

 

2.過去にはこんな人も

では昨年以前はどうでしょうか。

今季途中で無念の降板となったオリックス西村徳文氏も元はと言えば、ヘッドコーチとして招聘された人物。それ以前にはロッテ一筋の生え抜き監督として2010年、レギュラーシーズン3位からCS突破を経て日本一を掴むという下剋上を成し遂げました。

 

引く手数多の人気指導者として名前が挙がるのが達川光男氏。99年から翌年まで広島の監督を務めた後、解説者を経て03年に闘将・星野仙一氏の求めに応じて阪神のバッテリーコーチに就任。その後も14〜15年に中日、17〜18年はソフトバンクでコーチを歴任しています。いずれも1〜2年と期間こそ短いものの、ソフトバンク時代には甲斐拓也捕手を主戦力へ育てた実績などで評価を得ています。

 

来季、ヤクルトの二軍投手コーチ就任が報じられた尾花高夫氏は、ロッテ・ヤクルト・ソフトバンク・巨人の4球団で投手コーチとして実績を重ねると、その手腕が評価され2010年に横浜の監督に就任。しかし横浜では2年連続最下位と振るわず退任しました。が、それから1年後には巨人の投手コーチに復帰しています。

 

横浜大洋の名ショートとして鳴らした山下大輔氏もまた、横浜監督時代は成績が振るわず。その後楽天でのヘッドコーチを経て、古巣に二軍監督として復帰を果たすという珍しい経歴を持っています。

 

もう一人、忘れてはならないのが伊原春樹氏。名サードコーチャーとして伝説の試合にも多数関わってきた氏は02〜03年に西武、04年にはオリックスで監督を務めます。その後2年間の解説者時代を経て、07年〜10年まで巨人のヘッドコーチとして原辰徳監督の右腕としてリーグ連覇を支えました。そして何と、13年オフに西武で監督復帰。10年ぶりの古巣復帰に注目が集まりましたが14年シーズンは開幕からつまずき、結局シーズン終了を待たずに辞任となってしまいました。

 

3.かつての近鉄戦士たちが…

かつて近鉄の正二塁手として活躍した大石大二郎氏は08年途中に辞任したテリー・コリンズ監督の後を受け、監督代行に。そこで数々の改革を敢行すると5位だったチームも2位に躍進、遂には“代行”が取れてシーズン途中ながら正式に監督に就任します。しかし翌年は一気に低迷し、09年9月に解任。ところがその約2ヶ月後、なんとソフトバンクのヘッドコーチに就任する事が発表されます(タイミングとしては前述の平石氏と近いものがあり、報道が出た時にはめちゃくちゃびっくりしました)。翌年以降はチームに走塁改革をもたらし、リーグ連覇に大きく貢献するのでした。

 

その大石氏の現役時代に近鉄監督を務めていた佐々木恭介氏もまた、監督経験のあるコーチとして辣腕を発揮した人物の一人。近鉄監督就任直後のドラフト会議で福留孝介選手の交渉権を得て「ヨッシャー!」と快哉を叫ぶも、肝心の福留選手が入団を固辞したという一連の話は今もなお語られるエピソードです。しかしその後佐々木氏は西武での打撃コーチを経て、中日の打撃コーチに就任、そこで福留選手と再会し彼の打撃開眼に大きく携わる事になるとは、誰が予測できたでしょうか。

 

4.おわりに

ここ最近の事例を中心に紹介してきました。現役引退後の花形職とされる一軍監督退任後もコーチとして請われるということは、言うまでもなくその指導手腕が高く評価されている証。むしろ監督を経験した事で、勝利に必要な戦力をより具体的にイメージして指導に当たれるという風に見ることもできます。

2021年シーズンに向け、平石氏は引き続きソフトバンクで打撃コーチを、田邊氏も西武で三軍統括コーチを、楽天で一軍監督を務めた三木肇氏は二軍監督に配置転換される事が既に発表されています。この記事を書いている時点でまだ公式発表こそありませんが、中日・伊東氏も継続は確定的。彼らの“陰の活躍”もまた、見逃せません。