【プロ野球小ネタ】◯◯世代って言うけども(1977.4〜1978.3生まれの選手は何世代?編)
こんにちは。
プロ野球でよく「◯◯世代」っていうワードが出てきます。
古くは桑田真澄&清原和博両氏のKK世代に、松坂大輔の松坂世代。佑ちゃんフィーバーに湧いたハンカチ世代はもう死語でしょうか。最近では清宮幸太郎の清宮世代というワードが頻出しています。
これらは、いわゆる「スーパー高校生」的な選手が甲子園で群を抜いた活躍をし、彼に並ぶようなポテンシャルの高い選手が複数活躍した時に誕生する傾向があります。
でも、ですよ。
毎年、その年代を代表する選手が世に出るわけで、言わば1年ごとに「◯◯世代」なんて呼び名が付いてもいいと思うわけですよ。ややこしいけど。
そんなわけで、「◯◯世代」と呼ばれていない年代をピックアップ、色々掘り下げてみて、「◯◯世代」とネーミングしてみようじゃないか!というのが今回のお話でございます。
今回は、今年の球界最年長選手・福留孝介(阪神)が生まれた1977年4月〜1978年3月の世代を掘り下げます。
- 1.高卒でプロ入りした選手たち
- 2.大卒でプロ入りした選手たち
- 3.社会人野球からプロ入りした選手たち
- 4.クラブチームなどを経てプロ入りした選手
- 5.ベストナイン組んでみるよね、そりゃ
- 6.で、何世代なのさ
1.高卒でプロ入りした選手たち
この世代が主力となった甲子園大会は1995年。春は第67回大会、夏は第77回大会でした。
実はこの年、最も注目を集めていたのは福留孝介。名門・PL学園で4番を張り、高校No.1スラッガーとしてプロからも高い評価を得ていました。そして秋のドラフト会議では、7球団から1位指名を受ける事態に。くじ引きの結果、近鉄が指名権を獲得し、時の監督、佐々木恭介氏の快哉「ヨッシャー!」は話題になりました。
しかし、中日か巨人以外なら日本生命入りを表明していた福留は近鉄入団を固辞、当初の表明通りに日本生命へ入団、彼のプロ入りは3年後に持ち越しとなりました。
そんなドラフト会議で、1位指名を受けた同級生は7人。その中でも長らくプロ生活を続けたのが荒木雅博(中日)。Wikipediaによれば当初は4位指名を予定されていたそうな(福留の指名権をかくとくしていれば、ということだろうか)。プロ入り後は井端弘和とアライバコンビとして中日の二遊間を守り、打っては2000本安打を放つなど、2000年代の球界を代表する選手として活躍しました。
多くのファンの記憶に残る活躍をした選手では、斉藤和巳(ダイエー/ソフトバンク)。190cmオーバーの長身から放たれる速球と多彩な変化球を武器に、2003年と2006年には沢村賞を獲得。2006年は投手五冠も達成しました。肩のけがが原因で07年を最後に一軍での登板は叶わず、6年に及ぶリハビリ生活を経て引退。かつてバッテリーを組んだ城島健司との引退セレモニーでは、斉藤の投球に涙したファンも多かったことでしょう。
選手としては目覚ましい活躍こそできなかったものの、現在、指導者として地位を確立しつつあるのが三木肇(ヤクルト、日本ハム)。選手時代はポスト池山隆寛の一角として期待されましたがレギュラー争いに勝ち残れず、08年に日本ハムへ移籍。その年限りで現役引退しますが、コーチとして日本ハムに残留。その後はコーチ・2軍監督として経験を積み、今年からは楽天の監督として指揮を執ります。
その他に1位指名で入団した選手は、長谷川昌幸(広島、オリックス)、原俊介(巨人)、今村文昭(オリックス)、澤井良輔(ロッテ)がいます。
2位以下の指名選手は以下の通り。
宮出隆自(ヤクルト、楽天)、石井弘寿(ヤクルト)、吉年滝徳(広島)、伊与田一範(広島、ロッテ)、鈴衛佑規(広島)、大場豊千(巨人)、小林聡(巨人)、横山道哉(横浜、日本ハム)、杉山俊介(横浜、ダイエー、ロッテ)、鶴岡一成(横浜、巨人、阪神)、川崎泰央(オリックス)、日高剛(オリックス、阪神)、太田敦士(オリックス)、田中雅興(オリックス)、飯田雅司(ロッテ)、末広五大(ロッテ)、天野勇剛(ロッテ)、小石澤浄孝(西武、ダイエー)、箕田卓哉(日本ハム)、中西有希人(日本ハム)、松本輝(ダイエー/ソフトバンク、楽天)、高橋和幸(ダイエー/ソフトバンク)、平下晃司(近鉄、阪神、ロッテ、オリックス)
2.大卒でプロ入りした選手たち
この年代の選手が大卒選手として指名を受けたのが1999年のドラフト会議。99年のドラフトは社会人選手の1位指名も多く、77年生まれの選手で1位指名を受けたのは、田中総司(ダイエー)と的場寛一(阪神)の2人のみでした。どちらもプロ野球では実績を残せず、田中は5年、的場は6年でプロ球界を去りました。しかし的場は、阪神退団後に入部したトヨタ自動車で開花。主力選手としてチームの日本選手権大会優勝などに貢献しました。
2位以下で指名を受けた選手の中で人気が高かったのが、藤井秀悟(ヤクルト、日本ハム、巨人、DeNA)。4球団を渡り歩き、プロ通算83勝を挙げた実績はもちろんのこと、本人が更新するブログから伝わる個性的な人物像が多くの人に愛されています。
その他には木塚敦志(横浜)や吉野誠(阪神、オリックス)など、中継ぎでチームを支えた渋味のある選手が多い印象です。
大卒選手ではありますが、2年の浪人生活によりプロ入りが遅れてしまったのが江尻慎太郎(日本ハム、横浜/DeNA、ソフトバンク)。こちらも中継ぎ投手として3球団で活躍しました。
上記以外で指名を受けた選手は以下の通り。
的場直樹(ダイエー/ソフトバンク、ロッテ)、青木勇人(西武、広島)、葛城育郎(オリックス、阪神)、前田忠節(近鉄、楽天、阪神)、山下勝己(近鉄、楽天)、奈良将史(近鉄)、吉川勝成(近鉄、オリックス)、佐藤宏志(巨人、楽天)、十川孝富(巨人)、花田真人(ヤクルト)、松本奉文(広島)、窪田淳(阪神、オリックス)、北川智規(オリックス)
3.社会人野球からプロ入りした選手たち
1998年のドラフト会議で、福留孝介は逆指名制度を行使し、中日入りを果たします。同年に福留と同じように高卒社会人でプロ入りした選手には、左の中継ぎとして活躍した星野智樹(西武、楽天)がいました。
その後99年から02年にかけて、社会人野球を経験してきた選手たちがプロ入りします。野村克也監督時代にF1セブンの一員に名を連ねた上坂太一郎(阪神)、藤本敦士(阪神、ヤクルト)。藤本は星野仙一監督就任時に主力となり、03年のリーグ優勝に貢献しました。阪神入りした選手では、主に中継ぎでチームを支えた安藤優也(阪神)もいます。加藤武治(横浜、日本ハム)は中継ぎで活躍、同級生の木塚らとともにクアトロKの愛称で親しまれました。
その他に社会人野球を経てプロ入りした選手は以下の通り。
谷浩弥(巨人、ロッテ)、木村一喜(広島、楽天)、山北茂利(中日、ロッテ、横浜)、久保田智(ヤクルト)、五十嵐貴章(ヤクルト)、野田浩輔(西武)、森本学(ダイエー/ソフトバンク)、山口弘佑(日本ハム)、佐藤和宏(近鉄、楽天)、長坂健治(近鉄、楽天)
4.クラブチームなどを経てプロ入りした選手
なかなか細かい章立てになってしまいましたが、クラブチームや浪人生活を経てプロ入りした選手もいました。
プロ入り初年度の00年に中継ぎで活躍した本間忠(ヤクルト)は野田サンダースというクラブチームの出身。PL学園時代には福留と共にクリーンアップを担った辻田摂(中日)は東洋大を中退後、テレビ企画への参加などで渡米~マイナーチームでプレーし、00年にドラフト会議で指名を受けた隠し球的存在でした。
他には、韓国・高麗大中退の新井峰秀(中日)、契約金ゼロ入団で話題となった橋本泰由(オリックス)、米独立リーグを経てプロ入りした田中聡(日本ハム、阪神)、米マイナー出身の吉田好太(近鉄、横浜)がいます。
5.ベストナイン組んでみるよね、そりゃ
「◯◯世代」を命名する前に、この世代の選手でベストナイン組んでみます。ベストナインおじさん(Ⓒ高木豊)じゃないですけど、これだけ選手の名前が並べば組んでみたくなりますよ、そりゃ。
というわけで組んでみたのが以下。せっかくなので、投手は先発・中継ぎ・抑えでそれぞれ選出しました。
捕手:的場直樹
一塁:宮出隆自
二塁:荒木雅博
三塁:森本学
遊撃:藤本敦士
左翼:葛城育郎
中堅:平下晃司
右翼:福留孝介
DH:上坂太一郎
ライトの福留とセカンドの荒木は固定枠。ショートの藤本まではすんなり決まり、残りの位置をどう埋めていくかで意見が分かれるところかもしれません。ちょっと悩んだのが、捕手。鶴岡や日高といった打撃のいい選手とも悩んだのですが、エース・斉藤との相性を鑑みて的場をチョイスしました。
続いて、打線組んでみます。
1.荒木 2.平下 3.宮出 4.福留 5.葛城 6.森本 7.上坂 8.藤本 9.的場
クリーンアップの並び以上に、藤本や森本、平下といった小兵をどう生かすかがこの打線の難しさ。実績でいえば藤本か森本を2番に据えたいところですが、それだと下位打線が弱くなるということで、こんな並びにしてみました。9番にDHを入れるのを嫌って下位打線をいじりまくった結果は上記の通りですが、素直に藤本-森本-的場-上坂の並びでもよさそうです。
6.で、何世代なのさ
今回の記事の主な要件である「◯◯世代」なんですけども。
「福留世代」と言っても異論はないでしょう。
プロ入り前には4番なりエースなりを張っていた選手が出揃っていることに間違いはないのですが、プロ入り後にほとんどがリリーバーや渋味のあるポジションに回る世代というのもなかなか珍しいような気がします。そんな中で高校~社会人~プロ入り~現在に至るまで、ずっと一線級の活躍を続けている福留孝介という選手もまた、稀有な存在です。荒木のような下積み時代も、斉藤和巳のような大ケガもほとんどない上にずっと注目選手であり続けるなんて、並大抵のことじゃないっす。
その足跡に敬意を表し、勝手ながらこの世代を「福留世代」と命名させていただきます。
次回は、松坂世代にスポットを当ててみたいと思います。たぶん。